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能勢銀寄の代表・谷充郎さんは、能勢で自然農法に取り組む農家です。
自然農法とは、化学的に合成された肥料や農薬を使わず、土が本来持っている作物を育む力を発揮させて農産物を栽培する方法です。

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谷さんは数年前まで中学校の数学の教師をしていました。定年を待たずして早期退職し、今は過疎の進む能勢町を元気にする様々な活動に取り組んでいます。農業を本格的にはじめたのは教師を辞めてから。もともと勉強が好きな谷さんは難しい農業書を読んで研究しています。実践的なことは母・聿子さん(82歳)から教わることも多いそうです。

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聿子さんは笑いながら谷代表のこんなエピソードを語ってくれました。「小さい頃から勉強が好きな子どもやったわ。でも家の仕事を手伝ってほしかったから勉強はするなと言ってきたんや。学校にも行かんでええと。でも勉強するなと言ったら余計に勉強したくなるんやな」

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親の言うことを聞かず熱心に勉強に取り組んだ結果、大学へ進学し、教職に就いた谷さん。そして長年に渡り教壇に立ち多くの教え子を育ててきました。一線を退いた今、こうして親子で一緒に、毎日畑仕事をしています。人生の後半で、こんな風に親子一緒に取り組む仕事があるというのは、素敵ですよね。

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谷さん親子は「土を愛する会」という自然農法を実践するグループに入っています。周辺の農家17世帯20名の人達によって今から23年前に結成されました。立ち上げの中心メンバーに谷さんの父・武夫さんがいました。武夫さんは能勢で自然農法の仲間を増やすために、手作りの会報を発行していました。当時の会報にはこう書かれています。

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「最近 畠の表情が少しづつ変わってきたようだ。土が触りやすく 作物の根が細かくて深い。特に雑草のはびこりようは尋常ではない。恐ろしく強く深くそして引き抜きにくい。土に埋めても枯死しない。何故?その生命力には驚くばかり。原因として考えられるのは土が柔らかくあまりにも通気性が良いからか。そんな雑草に負けないように被覆など栽培管理に努力していきたい。これから雑草との戦い。農薬を忘れて4年あまり。土づくりに取り組んで少しづつではあるけれど自然農法の良さが判るようになってきた。雑草との競争は当分続くものと思う。」

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「野菜づくりほど難儀なものはない。五十何年何を作っても これだけは上手につくれるという自信の作物がない しかし作物ができないと逃げないで なんでも挑戦してみたい。百姓のプライドが許さない。作り難いものほど出来上がりが楽しいもの。苦労した分喜びを覚える。」

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「来年の4月に能勢町物産センター(道の駅)がオープンする。第三セクターで農産物直売所が設けられる。土を愛する会も当然参加していく。もちろん自然農業 無農薬を売り物として一般野菜と別枠を設けて安全性と自然野菜の味をどう売り込むか 課題は多い。積極的に取り組んで売り込んでいきたい。そのためにも今から作付け計画を立てていかなければならない。」

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今から19年前、能勢の物産センター(道の駅)が翌年オープンするというときに書かれた文章には「これを機に能勢の自然野菜を世に広めるぞ」という熱い想いがひしひしと伝わってきます。武夫さんはこれを書かれた7年後の平成18年に他界されました。いま天国でどのように見守っておられるでしょうか。

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月日は流れ、土日は駐車場から車があふれるほどの人気になった能勢物産センター。「土を愛する会」は当初の計画通り、一般野菜と別枠で自然農の野菜として販売されています。しかし一般野菜との値段の違いは20円ほど。農薬を使わない「安心・安全」と引き換えに大変な手間と努力を必要とする自然農法の野菜。それなのに価格の差がわずか20円しかないというのは、その価値を適正に反映しているといえるでしょうか。買い求める私たち消費者の意識も変わる必要があるのかもしれません。

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「土を愛する会」は設立から23年経ちました。メンバーの数は今も昔もほとんど変わらないまま。能勢で自然農や有機農法をされている農家さんはまだまだ少数派です。農薬を使わないのが良いとわかっていても、生計を立てるために踏み込めない事情もあるようです。農薬をやめるとしばらくは病害虫や雑草が猛威を振るいます。生半可な気持ちでは太刀打ちできません。土づくりが安定するまで数年かかります。ある種の「覚悟」が必要です。土を愛する。能勢の自然を愛する。愛するそれらを守っていく。持続させる。循環させていく。…何があってもこれでやっていくのだという「覚悟」がないとできない農業です。

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「土を愛する会」のメンバーは毎朝、軽トラに乗って谷さんの家のガレージに集まってきます。そこで収穫した野菜を降ろし、重さを測り値段を決め、最後に自然農の認定シールを貼って出荷準備をします。ストーブの火で沸かしたお湯で入れたコーヒーを飲みながら、野菜のことや暮らしのことを話します。笑いが絶えることなく、そこに悲壮感はありません。ただただ畑仕事が好きで、自然農で野菜を作ることが生き甲斐なのです。

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自然農・有機農業は農薬を使いません。その代わりに、土の中の生き物同士の共存共生関係を重視します。田畑に多くの種類・量の生き物が暮らせる環境を整えそれを管理する農業です。食べる・食べられる・棲み分けるなどの生き物同士の関係が豊かになると特定の生き物だけが爆発的に増えることはありません。たとえ病原菌や害虫がいても大きな被害は出ないそうです。

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「オーガニックトレインツアー」は、産地を走りながらオーガニック・エコについての知識と味わいを深める体験型のツアーです。第2回目の舞台となる能勢町は、生物多様性が全国第1位(三菱UFJリサーチ調べ)という調査結果が出ています。能勢には豊かな自然があるというだけでなく、人間も含めた多くの生き物同士が環境の中で結びつき、長く共存してきた歴史があります。この里山で自然循環を手本にした農業をすることは極めて理にかなった自然の流れのように思えます。

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オーガニックトレインに乗って、生物多様性の能勢に。土を愛する人たちに。ぜひ会いにいらしてください。


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